組織は同じ山に登る

 「同じ山に登る」とは、教師が同じ方向性を持って、子どもたちを育てるということです。教師同士の仲の悪い学校ほど荒れています。そんな学校は教師がバラバラで、同じ山に登ろうという気すらありません。生徒指導が大変な学校でも、皆で同じ山に登っていると実感できる時、教師は耐えていけます。しかし、教師が孤立し、問題を抱えこむようになると、うつ病になったりします。現実問題、教師の精神疾患は急増しています。

1 学校が荒れるのは、教員の不仲
 学校経営で一番大切なことは、ズバリ、「職員室の雰囲気の良さ」。しかし、そんな学校は、あまり多くはないのが現状でしょう。学年セクトがあったり、管理職と仲が悪かったり、学年主任同士が不仲など多々あります。
 教師が不仲な学校は、情報が伝わりません。隣の学級が何をしているのかさえわかりません。そして、気づいたときには、学級崩壊–。そんなことがよくあります。被害者は生徒たちなのです。
 
教師にも、いろいろな個性があり、得手・不得手があります。その得意なこと、強みを総動員して、同じ山に登るのです。弱味を総動員しては、皆が疲弊してしまします。各々が同じ山に登れるように、マネジメントする力が大切なのです。校長のマネジメントは、教職員それぞれの強味を生かすこと。逆に、校長をマネジメントするとは、校長の強みを生かすことでもあるのです。

2 荒れた学校の実態
 私が赴任した中学校は、市内でも有数の荒れた学校でした。授業に出ないで廊下を闊歩し、いきがる生徒が10名以上いました。しかし、教師は注意しません。職員室から出ようとしません。怖いからです。廊下に出で注意すると生徒にやられることを知っているからです。暴言を浴びせられたり、歩いているとワザと肩をぶつけてきたり、足を引っ掛けられたり・・・・・。もっとひどいと、イチャモンをつけ、教師の胸ぐらを掴み、ツバをかけます。
 そんな学校では、教師同士の仲が悪く、自信を喪失し無気力になり、退職さえも考えるようになります。そんな時こそ、同じ山に登る意識が大切なのです。最初は、2,3人の仲間からしか始めることができません。同じ山でも、先頭を登る人、直線的にまっすぐ登れる人、休み休みついてくる人、遠回りしながらもついてくる人、様々です。誰かが「同じ山に登るぞ」と決意しないとダメなのです。

3 オーケストラが組織のモデル
 組織分析で著名なP・F・ドラッカーは、<オーケストラが組織のモデル>と言います。バイオリンだけではオーケストラにならない。チューバだけでも同じです。250人の団員一人ひとりの個性が発揮して、初めてオーケストラになるのです。学校も同じです。怖い先生がいて、優しい先生がいて、色々な先生がいていいのです。教師も十人十色。
 私は、中学校教師の経験があります。ある時、校長にこんなことを言われました。「うちの学校では、金山先生は是非とも必要だ。でも、全員が金山先生では困る!」まさにその通り。気持ちが悪いです。一番困るのは生徒。

 助けたり、助けられたりする教師集団が必要なのです。みなさんの学校は、大丈夫ですか。教師の仲がいいですか。職員室に笑いがありますか。

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