学級満足度とQ-U

 目次
1.保健室来室状況 ~クラスの楽しさ=保健室に来室する児童・生徒の減少~
2.4教科の学力 ~予防的プログラム導入で大きく向上する学力~
3.学級集団と学力(小学校と中学校)
  (1) 注目される「Q-Uテスト」
  (2) 学級集団の形と子供の学力
  (3) 子供たちにとっての「満足」とは
4.協同学習 ~部活動理論?~
  (1) 生徒に合わせるべき「レベル」とは
  (2)授業=学習指導+生徒指導

1.保健室来室状況 ~クラスの楽しさ=保健室に来室する児童・生徒の減少~

 これは、ある小学校の保健室の来室状況で、上のグラフは平成23年度、下は平成24年度です。平成23年度のグラフを見ると、5月から6月にかけて600人近くの児童が来室していますが、平成24年度のグラフでは、100人から200人ほどに大幅に減少しています。
 予防的なプログラム導入してクラスが楽しくなると、保健室に行く必要がなくなるのです。

2.教科の学力 ~予防的プログラム導入で大きく向上する学力~

 これは全国の学力テストの結果ですが、この最も高い値を示しているのが総社市です。総社市は2011年、岡山県内で最下位から2番目という悲惨な状況でした。そこで、楽しい学校づくりのプログラムを導入したところ、瞬く間に学力が県内トップになり、現在でもトップの座を維持し続けています。

3.学級集団と学力(小学校と中学校)

(1) 注目される「Q-Uテスト」
早稲田大学の河村茂雄先生は「Q-U」というテストを開発しています。これは学級集団と、学力の相関について明らかにしたもので、様々なことがわかります。このグラフには、「オーバーアチーバー」と「アンダーアチーバー」という言葉が付されています。
前者は「能力以上の成績を取る子供」です。例えば、知能指数が100なのに120を取る子供です。後者は前者とは逆に「能力以下の成績しか取れない子供」です。知能指数が100なのに70しか取れない子供です。

(2) 学級集団の形と子供の学力
 学級集団には、「管理型学級」「満足型学級」「なれ合い型学級」の3つの形があります。「管理型学級」は担任の先生が管理している学級です。「先生についてこい!やるぞ!」という感じです。「満足型学級」は楽しい学級であり、「なれ合い型学級」は、担任の先生と子供たちが友達のようにじゃれ合っている学級です。
 河村先生の研究によると、能力以上の成績を取る子供である「オーバーアチーバー」は、「満足型学級」でその比率が最も高く、「管理型学級」「なれ合い型学級」の順に低くなることが明らかにされています。これは中学校の場合も同様で、楽しい学級を作ることが、子供たちの学力向上に直結しているのです。

(3) 子供たちにとっての「満足」とは
 「満足型学級」とは何が満たされれば「満足」となるのでしょうか?この答えの1つは「友達がいる」ということです。友達がいなければ孤独感が大きくなって辛くなります。もう1つは「ルールがあること」です。ルールがない学級では、掃除当番をサボっても、授業中に騒いでいても許されてしまいます。学級の中に友達がいて、ルールがしっかりとしていること、これが子供たちのとっての「満足」なのです。

4.協同学習 ~部活動理論?~

(1) 生徒に合わせるべき「レベル」とは
 A運動部には運動能力の高い生徒から低い生徒までが在籍しています。このような場合、練習レベルはどの生徒の能力に合わせるべきでしょうか。下位の能力の生徒でしょうか?それとも中位の能力の生徒でしょうか?あるいは上位の能力の生徒でしょうか?
そして、仮に上位の能力の生徒に合わせても、誰もドロップアウトさせないためには、どうしたらいいのでしょうか?その逆に、下位の能力の生徒に合わせても、皆が満足するためには、どうしたらいいのでしょうか?
これと全く同じ構図が授業です。学級にはできる生徒もいればできない生徒もいます。下位の学力の生徒にばかり合わせていたら、上位の学力の生徒たちは面白くありません。
どうしたら全ての生徒を満足させられるのでしょうか?

(2)授業=学習指導+生徒指導
 学習指導は、児童・生徒の学力向上を目的として行うものであり、生徒指導は協調性やコミュニケーション能力を身に付けさせるために行うものです。 
 この学習指導と生徒指導の両方を合わせたものが本来の授業です。授業の中においても生徒指導を行い、コミュニケーション能力を高め、対人関係能力を養うなど、児童・生徒のスキルを高めているのです。

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