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最先端のネットいじめ・ネットトラブル対応1~事例研究と法律~

 目次
1.ネットいじめ ~事例研究と法律~
 (1) 事例1.なりすましメール
 (2) 事例2.
年グルチャの事例
 (3) 事例3.女子4人グループLINEの事例
2.ケータイと犯罪
3.指導のポイント

 ネット問題では、くの学校が対応に苦慮しています。その理由の1つとして、我々、教師や大人が子どものネットの世界をよく知らないことが大きな要因です。そこでこの記事では、子どもが実際に起こした、ネット事例を確認します。最終的はネットの問題は、「心の問題」であると言えます。心を鍛えることが、ネット問題の解決に繋がりますが、まずはネットいじめからみていきましょう。

1.ネットいじめ ~事例研究と法律~

(1) 事例1. なりすましメール
 ここでは「ネットいじめ」についてお話ししたいと思います。小学校6年生A子に、昼休みに、30人ほどから一斉に、「死ね」「キモイ」「うざい」「学校来るな」等のメールが来ました。その学校は携帯を持って来ることは禁止です。A子はこれが原因で不登校になりました。原因は何でしょうか?
 このA子さんは担任の先生に連れられて、私の所に来ましたが、本当に優秀な子です。
 小学校の先生は常に児童と共に過ごしていますし、禁止されている携帯電話を30人も持って来て、しかも一斉送信など、通常では考えられないことだと私は思いました。
 そこでA子さんに、この時期に何があったのかを質問すると、A子さんは学校祭のピアノの伴奏者に選ばれたことを話してくれました。A子さんは友達同士で仲の良いB子さんと一緒に立候補していて、A子さんに決まったそうです。これまでもクラスで何か決め事があるとA子さんがリーダーに選ばれて、B子さんはいつも2番手だったそうです。これらの経緯をふり返ると、大よそ想像がつくと思いますが、A子さんに届いたメールは、B子さんが一斉送信した「なりすましメール」だったのです。
 その「なりすましメール」のカラクリですが、B子さんは前もって用意しておいた、フリーメールのアドレスで「死ね」「キモい」「うざい」「学校来るな」といったメールをA子さんに一斉送信したのです。 
 この小学校では携帯電話の持ち込みを禁止していましたが、少しませたA子さんとB子さんの2人は隠れて持ち込んでいました。A子さんはB子さんから一斉送信されたとも知らず、送られてきた30人分のメールを見て「クラスのみんなに私は嫌われている」と思い込み、不登校になってしまったのです。
 このネットいじめの原因はB子さんがA子さんに嫉妬したことです。嫉妬ゆえにネットいじめに発展する例は、枚挙にいとまがありません。もし、このような事件が起きた場合は「なりすましメール」を疑うことも必要です。今回は女子児童によるネットいじめでしたが、これは男子児童であっても、男女が入り混じった状況であっても起きる可能性があります。 

(2) 事例2. 小学校6年生グルチャの事例
 下の写真は、小学校6年生のグルチャです。
 「グルチャ」とは「グループチャット」の略称で、LINEなどのコミュニティアプリを使って複数の人たちとチャットすることを意味しています。
 「今日のアニメおもしろかったぁ…」の後に「塾で見てない!!これから見よ!!」そしてなぜか、いきなりぬいぐるみの写真。違和感がありますね。
 これはグループでプレゼントの話をしていた時、そのうちの1人がプレゼントに相応しい画像を検索していて、それが見つかったので、後からポンっと送信したのです。つまり、後からグループの話題に入ってきた子なのです。そして、その画像に対して、既読の11「このぬいぐるみ、かわいくない」と、送信した子がいる状況です。ところが、これを送信した子が、その後、いじめの対象にされるのです。
 これはメールのやり取りで発生する典型的な「誤解」なのですが、「このぬいぐるみ、かわいくない」を送信した子は、「このぬいぐるみ、可愛いんじゃない?」と、好意的に問い掛けたつもりだったのです。
 ところが、他の子たちは「このぬいぐるみ、かわいくないよね」と、全否定されたように感じたのです。
 私は、小中高の出前授業にも行くのですが、この問題を取り上げて「どうしたらいいの」と聞くと、子供たちは必ず「このぬいぐるみ、かわいくない」の文章の後に「はてなマークが必要だったんだよ」とか「絵文字が必要だったんだよ」と答えてくれます。
 グループチャットは、今や子供たちのコミュニケーションツールとして、欠かすことのできない存在となっていますが、文字だけでは本当の思いや感情が伝わりにくく、しばしば、誤解を生じさせます。そういった誤解が、今日のネット上のトラブルの発生要因にもなっているのです。

(3) 事例3. 女子4人グループLINEの事例
 次は、女子4人グループのLINEです。A子が「明日、街に買い物行こうよ」それに対して、B子が「いいね~」C子「賛成~」D子「OK~!!」
 そして、最後にA子が「D子はなんでくるの」と送信したことで、D子は自分が仲間外れにされたと大きなショックを受けます。実際は、A子がD子を仲間外れにしようとしたのではなく、D子が「どのような手段で買い物に行くのか」を気遣ってあげているのです。
 今はこういった些細なやり取りで誤解が生じ、トラブルに発展しています。いじめがLINEの中で起きているのです。これから先生方もショック受けることが多くなると思います。

2.ケータイと犯罪

 以下は、携帯と犯罪の関係について考えるための穴埋め問題です。「I子は、カンニングをした」「I子は、万引きをした」と、嘘の情報をLINEで発信するとどんな罪になるか。また「I子、うざい」「I子、きもい」と、クラスのグループチャットで何度も書いた場合に、どんな罪になるのか。
 このようなことを具体的に子供たちに教えたほうが現実味があっていいと思います。ネットの問題は現物で教えるのが基本です。そして、重要なのは責任の取り方もしっかり教えるということです。

3.指導のポイント

 1つ目は、名誉棄損で懲役3年以下、罰金50万円です。2つ目は侮辱罪です。こちら側は、拘留が30日未満で、科料は1万円未満と、それぞれが法律で定められた刑になります。
 「懲役」は刑務所の中で作業をしなければなりませんが「拘留」の場合は作業を強いられることはありません。その点に違いがあります。また「科料」とは、一万円未満の金額的に低い罰金のことを言います。
 こういった内容を「学級だより」「学校だより」または「保健室だより」でもいいですが、きっちりと子供たちに情報を伝えてあげた方がいいと思います。そして、学活の中でも議論をさせたり、調べ学習をさせたりすると更に効果的です。子供たちの当事者性を育てていくこと、これは本当に重要です。
 私の指導のポイントは至って簡単なものです。子供たちに「ばれるよ」と言います。長めですと「やっていること絶対にばれるよ」と言います。
 そして「えらいことになるよ」「これ大変なことになるよ」と脅かすように言います。その後、優しい顔をして「相談して」と言っています。
 私は常にこの流れです。そうしないと子供たちは変わりません。行動を抑制させるような情報を与えることも、時には必要だと思います。

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