チクチク言葉とほんわか言葉
目次
1.中学生の3大<チクチク言葉>
2.家庭での<ほんわか言葉>は心のビタミン剤
もし、あなたが集団から「死ね」と言われたらどうしますか?
1.中学生の3大<チクチク言葉>
中学生がいじめと感じる言葉の第1位が「死ね」。ちなみに第2位は「キモい」第3位は「うざい」です。その他にも、「クサイ」「消えろ」「邪魔」など、思わず耳をふさぎたくなるような言葉が多数ありました。一方、中学生がかけられて嬉しい言葉<ほんわか言葉>の第1位は「ありがとう」です。次に「優しいね」「おはよう」などが続きます。日常の何気ない挨拶の言葉が上位に入っているのです。
いじめの予防に<チクチク言葉>を学級で使わないという運動を行う学校が増えてきました。子どもたちにいじめで使われる言葉のアンケート調査をし、その結果を子どもたちがまとめ、自分たちの学級の<チクチク言葉>の順位を決定します。上位にランクされた言葉は、自分たちの学級では絶対に使わないという宣言をするのです。大半のトラブルの最初は言葉から始まります。しかし、言葉で人は傷つけられもしますが、元気をもらうこともあるのです。
<チクチク言葉>カードの上に、<ほんわか言葉>カードを載せて、チクチク言葉を使わない学級経営も実践されています。小学校では、<ほんわか>という意味がよくわらないので、<きらきら>言葉にしていることもあります。
2.家庭での<ほんわか言葉>は心のビタミン剤
家庭内での<ほんわか言葉>はどうでしょうか。夫は「いつも美味しい食事をありがとう」。妻は「残業が多くて大変だけどいつも私たちのためにありがとう」。正直なかなか言えないことも多いのでは……。朝食と脳の関係から、朝食を食べる子どもの成績が、朝食をとらない子どもと比べて良いという調査結果も発表されました。朝食をしっかり食べている子どもたちは、慌ただしい中でも食卓を囲みながら家族の会話があり、心のビタミン剤を充電しているのではないでしょうか。「行ってらっしゃい」という一言があるかないか、逆に家庭で朝から<チクチク言葉>を浴びせられるかどうかで、子どもたちの一日の過ごし方が変わってくるのです。
あるいじめの調査で「いじめられる生徒にも問題があるからいじめられる」と答えた中学生が4割を超えたといいます。この考え方はとても危険です。「問題があるのだからいじめられても仕方がない」だから「殴ってもいい」。これは児童虐待の問題とも繋がるのです。赤ちゃんがうるさいから、寝付かないから、殴ってもいい。タバコの火を押し付けてもいい。しかし、世の中で誰一人、虐待していい子どもなど決して存在しないのです。
全国の児童相談所が児童虐待に対応した件数は、平成2年では1,101件でしたが平成17年度には159,850件。実にわずか28年間で144倍にも急増しているのです。いじめの問題、虐待の問題は、学校だけの問題ではありません。
「いじめてもいいんだ」「しつけだから、暴力をしてもいいんだ」という風潮は、5年後、10年後に大きな社会問題として襲ってくるのです。人は必ず年をとり、老いていきます。そんな時「年寄りだから殴ってもいい」そんな社会にはしたくありません。今からでも〈ほんわか言葉〉を意識して、すべての人が住みよい社会をつくっていきたいものですね。