包括的支援モデルと、その成果(総社市)
目次
1.包括的支援モデル
(1)生徒を「砂」に見立てる「包括的支援モデル」
(2)「1次支援」から「2次支援」そして「3次支援」へ
2.成果(検挙・補導数の減少)~プログラム導入で見違えるほどの成果~
1.包括的支援モデル
(1)生徒を「砂」に見立てる「包括的支援モデル」
私が提唱しているのは「1次支援」「2次支援」「3次支援」を軸とした包括的支援モデルであり、私はこれを「砂時計モデル」と呼んでいます。上の図のような円錐形の砂時計の「砂」が子供たちで、その「砂」が下に落ちないよう、様々な支援を行うという考えです。
図の緑色の部分に該当する「1次支援」において、年間計画の中に「予防的プログラム」を組み込んでいきます。具体的な内容としては「いじめの予防的プログラム」「命の教育に関する予防的プログラム」「コミュニケーション向上に関する予防的プログラム」「人間関係づくりにおける予防的プログラム」などが挙げられます。これらのプログラムを通じて、人と人を繋げていくことを、最重要課題として取り組んでいきます。
(2)「1次支援」から「2次支援」そして「3次支援」へ
予防的なプログラムの「1次支援」を行っても、そこから漏れてくる子供たちがいます。いじめの被害を受けている子供や不登校の子供には先生方によるチーム支援や子供の力を生かした「ピアサポート」を実践していきます。これが黄色い部分の「2次支援」です。
例えば、保健室登校をしている子供を、担任の先生が迎えに来て「いくぞ、いくぞ」と言っても行きません。しかし、お友達が「次〇〇ちゃんの好きな美術だよ〜。いこうよ」と誘ってあげるとスムーズに授業に出席します。子供たちの力は極めて大きいのです。
オレンジ色の部分は「2次支援」でも難しい子供たちです。ADHDの症状が重い子供や非行の子供たちが該当します。これが関係機関と連携して対応する「3次支援」です。
この包括的支援モデルは全ての子供たちに対して行うことが可能です。幼稚園や保育園、特別支援学校や高等学校など、学校の種類を問わず、私たちは提案し続けています。
2.成果(検挙・補導数の減少)~プログラム導入で見違えるほどの成果~
私達のチームは様々な都道府県と連携してプログラムを実施しています。上のグラフは岡山県の総社市と連携した時の「不登校の出現率」と「総社警察署管内の検挙・補導数」を示したものです。不登校の中学生が激減しているのがお分かり頂けると思います。
プログラムを導入する前は不登校が大変に多かった中学校ですが、プログラムによって学校が楽しくなると不登校が解消されるということが見事に証明されました。
また、右側のグラフは警察に検挙・補導された中学生の総数です。これもプログラムの導入前は年間で205人でしたが、導入後は減少し続け、ほぼゼロになっています。
この2つの結果は、誰かと誰かを繋げて学校を楽しくすることが極めて重要であることを物語っています。プログラムを導入すると非行を減らすことも可能になるのです。