タイトル未定➀_学びが育つ協同学習の理論と実践

 目次
1.協同学習の理論と実際 ~消えた「アクティブラーニング」~
2.日本の子供たちの現状
3.学校で大切なこと

1.協同学習の理論と実際 ~消えた「アクティブラーニング」~

 文部科学省では「主体的・対話的で深い学び」という言葉を使用しています。今までは「アクティブラーニング」と呼んでいましたが、最近では、ほとんど聞かなくなりました。
なぜそうなったのでしょうか。簡単に言えば「アクティブ」ということで様々な活動をさせたのですが、学力が伸びないということが分かったからなのです。「グループ学習」と「協同学習」の違いが曖昧で明確ではなかったことも要因の1つとして挙げられます。

2.日本の子供たちの現状

(1) 想像以上に多い「引きこもり」
 私が研修で「日本の子供たちの現状」についてお話しする際には、上のスライドにある「引きこもり」と「若年無業者」と「いじめ」の部分は空欄になっています。この数字は会場の皆様に考えて頂きます。
皆さん「引きこもり」って、どのくらいいると思いますか?10万人?それとも20万人?30万人?実は54万人なのです。「若年無業者数」は71万人、「いじめ」は41万人です。
 内閣府の調査によって「引きこもり」は54万人と報告されましたが、実際はもっと多く、「引きこもりの家族会」や大学による調査では160万人と発表されています。調査方法がそれぞれ違いますが、この数字が正確だと言われています。

(2) 年齢層が拡大する「引きこもり」
 この「引きこもり」の数を青年期の人口比で割ると12.5人となります。簡単に言えば、40人学級で3人が引きこもっている計算です。勉強はできるがクラスの人間関係に上手く馴染めない、発達障害ゆえに集団と上手く関わることができない、最初から元気が無くて、不登校をずっと続けている、そういう生徒は引きこもる可能性があるということです。
 つまり、幼稚園から小学校、中学校から高校、大学も含め、彼らが20歳になって社会に出た時に、しっかりと自立した状況でなければいけないということです。そのためには、幼稚園や小学校で何が必要なのか?中学校と高校では何をすべきかを考えていかないと、後で大変な事になってしまいます。
 また、「引きこもり」の数である54万人というのは、15歳から39歳までを調査対象としたもので、これに40歳から64歳までの61万人を更に加えると115万人に上ります。
引きこもりの状態が長期に渡って継続していますので、39歳を超えた途端、引きこもりから急に立ち直ることはありません。この115万人という数は、極めて深刻な状況です。これが今後ますます増えていく、というのが日本の現状なのです。

3.学校で大切なこと

(1) 同じ山に登る
 私は「同じ山に登る」という理論を重視しています。私が中学校の教師をしていた時、指導ラインが違うと学校は荒れると感じました。例えば、服装や携帯電話の指導ラインが学年で違うと学校は荒れます。ですから、同じ山に登る=「ベクトル」を揃える、つまり、指導の方向性を一致させることが重要です。そして、先生方同士の仲の良さも大切です。もし、生徒指導で難しい局面に苛まれても、その局面を乗り越えることができます。

(2) モグラ叩きの生徒対応から予防的な生徒対応へ
 いじめが起きてから対応する。生徒が不登校になってから対応する。何か問題が発生してから対応する。実は、私もこのような「モグラ叩き」的な生徒指導をしていましたが、疲れ果てました。それよりも、これらを予防するプログラムに数多く取り組んでいこうとこれまでの考え方を大きく改めました。
例えば、生徒のコミュニケーション能力が低下しているのならば、コミュニケーションを向上させるプログラム、ネット上の問題が生じているのならば、ネットの利用も含めた予防的なプログラムを、それぞれに取り入れて対応しようというわけです。
しかし、このような予防的プログラムは、大半の学校で導入されていません。そのため、どうしても旧態依然の「モグラ叩き」的な指導に陥ってしまうのです。

(3) ホームランバッターより3割バッター
 ここで言う「ホームランバッター」とは何でもできる先生のことです。授業も上手い、生徒指導も上手い、部活の指導も上手い、集会で生徒がザワザワしていても、その先生が登壇するとサッと静かになる。言い換えれば「スーパーマン」のような先生です。
しかし、ホームランバッターの先生が1人で支えている学校は比較的弱く、その先生が転勤した途端にバタバタと力失ってしまいます。私の考えは「3割バッター」が多い学校。つまり、守備の上手い先生。バントが上手い先生。声を出すのが上手い先生。先生方が、個性を発揮して生き生きしていること、これが様々な強みを発揮する理想的な学校です。

(4) 学校の力=教師の力量の総和×組織力
 これは簡単に言うと、A先生の力、B先生の力、C先生の力の合計に「組織力」を乗じたのが「学校の力」という論理です。この「組織力」とは、組織が一丸となって問題解決に当たろうとする力のことです。組織力が大きい値であれば学校の力も大きくなりますが、ゼロであれば学校の力もゼロになります。つまり、1より大きな数でなければなりません。
では、組織力は、誰が1よりも大きな数にするのでしょうか?それは校長先生ですが、私の考えは、気づいた先生が大きくするということです。それは、転勤したばかりの先生かもしれませんし、若い先生かもしれません。
自分の学校が良いのか悪いのか、10年も同じ学校にいるとわからなくなりますが、転勤した時であれば、何らかの違和感がありますよね。むしろ、その時かもしれません。

(5) 進路指導・学習指導は極上の生徒指導
 私が中学校の教師をしていた頃は、少年院に入っていた生徒が何人もいました。彼らが少年院を出て、酒を飲める歳になった時に、偶然にも出会う機会がありました。
その時、私は「何でお前たちは授業も出ずに、壁とか蹴っ飛ばして校舎をぐるぐる徘徊していたんだ?どうして給食だけ食べて帰ったんだよ?」と、単刀直入に聞いてみました。 
彼らは、開口一番「だって先生、俺たち教室に入って授業受けたらバカがバレる」と、言ったのです。私はその時、大失敗したと思いました。どんな生徒も勉強したいのです。 
もし、彼らが急に数学の授業に入って来て、「今日は二次関数をやるぞ」と言われても、授業に出ていない彼らには全く理解できないのです。その頃の自分を反省し、それ以降、私は手の掛かる生徒や、発達障害が疑われる生徒には、個別に学習指導を行いました。

(6) 子供と子供をつなげる「ソーシャルボンド」
 誰かと誰かが繋がっていれば不登校になりません。友達と繋がっていないので不登校に陥るのです。誰かと誰かが繋がっていれば、いじめも自殺に至るような状況になりません。
だからこそ、意図的に子供たちを繋げていくことが重要です。先生方が学校生活の中で子供たちと一番多くの時間を過ごしているのは授業です。つまり、授業の中で子供たちをどのようにして繋げていくか、その効果的な方法についても後述したいと思います。

 

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